tanojinの日記

昔は毎日書いていました。今後は不定期更新です。アフィリエイトをするつもりはありません。

東京城址女子高生(山田果苗・2018・KADOKAWA)を読んで

今回は漫画についてです。

丸善にて新しい漫画を探索中、試し読みコーナーの中にあったのが「東京城址女子高生」でした。全体的にカラフルで、女子高生2人が可愛く、そして興味のあるタイトル。試し読みを読んで、すぐ購入しました。

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城址」というのは城跡のことです。城に全く興味が無かった女子高生(右のスマホを持ってる子)が、ひょんなことから城址散策に誘われて、城好きの女の子(左の髪が長い子)と2人で東京の様々な城址を巡り歩く…という話です。1話完結型で、各話ごとにそれぞれ別の城址が登場します。江戸城のような超有名な城から、石浜城や成宗城のような歴史が好きな自分でも知らない城が出てきます。というか、全6話のうち知ってたのは江戸城だけという…

 面白いのは、あゆり(城に興味ない方)はともかく、美音(城好きの方)も知識豊富で質問には何でも答えられるスーパーマニアックな歴女ではない所ですね。もちろん、好きな太田道灌室町時代の武将)については詳しく話せますし、歴史についてかなり調べていますが、例えば「石浜城は推定地が2つあるが、なぜ2つもあるのか、どちらが有力だと考えられているか」など専門的な所までは知らない。それでも、城址巡りを楽しんでいる。そこが「ユルさ」というか、城に興味が無いあゆりを惹きつける部分なのかなと思います。めちゃくちゃマニアックな話を延々とされると引いちゃいますからね…(その役は顧問の田辺先生が話の終わりの解説役として担っている)

あとは歴史についての「普通の人」からの扱われ方を描いているのもいいです。ぶっちゃけ皆興味ないんですよね。自分の場合も、前の会社の新卒研修の時に大阪に行った時に(確か)仁徳天皇に関する石碑を見つけて、同期たちにそのことを報告したら「ふーん」としか返ってきませんでした。作品内でも、江戸城本丸は観光客が多いと書かれてありますが、道端にある解説版には見向きもしない人ばかり。そのことを美音は当然のことのように流しています。反対にあゆりは突っかかっていましたが。

また自分の話になって恐縮ですが、城址巡りは面白いです。滋賀県にある「安土城跡」に昔行ったのですが、ここがとにかく良かったです。山登りになるので中々しんどかったですが、頂上から見える風景が「そりゃ信長もここに城建てたくなるわ」って思えるくらい絶景でした。もちろん今と昔ではいろいろ違うでしょうが、遠くに見える琵琶湖と手前に広がる田畑が、なんというか、人の営みと自然の姿で調和がとれた風景になっていました。風景の話ばかりになってしまうのですが、「どうして安土が選ばれたのか」を風景を見ながら考えるとまた面白いんですよね…ロマンがある。

そんな昔行った城址巡りの話を思い出させてくれる、いい作品でした。1巻とあるので、次もあるはずです。良い作品なので、応援していきます。