tanojinの日記

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「泣き虫しょったんの奇跡」を観て

映画「泣き虫しょったんの奇跡」を観ました。高校の課題図書として昔読んではいたのですが、一本の映画として上手に纏められていました。

原作から「諦めなければ夢は叶う」といった話ではないです。主人公は1回夢を諦めていますし。逆に、夢を叶えるためには何が必要だったのかってことを考えるキッカケになります。この作品だと、本人の情熱と周囲の人のサポート…かな。どちらも当たり前のような物ですが、特に映画版だとサポート(応援)が色濃く出ていました。

今読んでいる小説にもあるのですが、夢を追うのって周囲の人に負担をかけてしまう可能性があります。瀬川さんも1人だったらもう一回プロを目指す所か、奨励会を続けることすら難しかったはず。そんな夢追い人に笑いながら「好きなことをやればいいんだよ」ってなかなか言えないかな…でも、その言葉があったからこそ、瀬川さんは夢を叶えられたんだと思います。ついでに、他の人には無かった運を手繰り寄せられたからこその「奇跡」なんだなと。

それから、面白かったのが「松田龍平の母親役を美保純が演じる」という所ですね。あまちゃんで二人は(利用した・されていたの関係とはいえ)恋人役を演じていたわけですから。そういえば、お父さんもお母さんも名前が「じゅん」ですね。どうでもいいか。

あとは、ちょっとした役にも大物俳優が出演していましたね。通行人役(出演時間30秒もない)に藤原竜也が出ていた時は、「え?今の藤原竜也だった?こんな端役に出る…ことはないだろうから、よく似た別人だろう」と思いました。本人でした。

そして、やっぱり松田龍平はちょっとした動作が上手いですね…! カフェからそそくさと出るところとか、どう反応したらいいか分からない時の首の使い方が、いかにも「人付き合い苦手なんだなー」って感じが出てます。「舟を編む」の時にも思いましたが、真面目で不器用な役がすごく上手いです。(かと思えば、あまちゃんでは熱い役だったりする)

ただ、「26歳になってプロ棋士の道が頓挫した」時のCGを使った比喩表現はいるのかなと思いました。もともとこの映画の趣旨は「夢破れた棋士がもう一度プロを目指す」なので、観客は負けることが分かっています。扇子を折るシーンのように、松田龍平瀬川晶司)自身にどんな思いだったのか表現させればいいのに、と思いました。制作スタッフにも何か思う所があるはずなので、あまり強くは言えませんが。

全体的にかなり良かったですし、ノンフィクションの話なので「夢」については説得力が比較的あると思います。もちろん、「諦めなければ~」ではなくて、周囲のサポート・応援があってこそ夢が叶ったということで。その意味で、おすすめです。